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Tangier病 ・家族性低HDL血症 && ABCA1
Tangier病 ・家族性低HDL血症 && ABCA1
シトステロール血症 && ABCG5
シトステロール血症 && ABCG5
シトステロール血症 && ABCG8
脳腱黄色腫症 && CYP27A1
脳腱黄色腫症 && CYP27A1
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遺伝子リスト

病名 遺伝子
家族性高コレステロール血症(FH) LDLR
Autosomal Recessive Hypercholesterolemia (ARH)
家族性低βリポタンパク質血症
無βリポタンパク質血症
アポリポタンパク質A-I欠損症
アポリポタンパク質A-II欠損症
レシチン:コレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)欠損症
コレステロールエステル転送タンパク質(CETP)欠損症
アポリポタンパク質C-II欠損症
家族性リポタンパク質リパーゼ(LPL)欠損症
肝性リパーゼ欠損症
III型高脂血症 ・リポタンパク質糸球体腎症 APOE
Tangier病 ・家族性低HDL血症
シトステロール血症
脳腱黄色腫症

遺伝性脂質代謝障害

HDL異常

HDL 低い HDL 高い
原発性低HDL-C血症
病名 原因遺伝子 遺伝 有病率 臨床像
タンジール(Tangier)病 ABCA1 (or CERP) 相互優勢 HDL < 5 mg/dL

角膜混濁、肝脾腫、末梢神経障害、溶血性貧血、橙色の扁桃、一部で若年性CAD

家族性 HDL 欠損症 ABCA1 優勢 若年性CAD
LCAT欠損症 LCAT 劣性 きわめて稀 HDL < 10 mg/dL

角膜混濁、貧血、腎不全

魚眼病 LCAT (Thr123→Ile) 劣性 きわめて稀 HDL < 10 mg/dL

角膜混濁

apo A-Ⅰ/ C-Ⅲ / A-Ⅳ 欠損症
apo A, C-Ⅲ, A-Ⅳ ? きわめて稀 HDL 15-30 mg/dL

角膜混濁、黄色腫、一部で若年性CAD

低αリポ蛋白血症(家族性または非家族性) apo A, C-Ⅲ, A-Ⅳ? 優勢 5% HDL 15-35 mg/dL

若年性CAD

続発性低HDL-C血症
肥満、食事、運動不足、喫煙など
原発性高HDL-C血症
病名 原因遺伝子 遺伝 有病率 臨床像
肝リパーゼ欠損症 肝リパーゼ 劣性 きわめて稀 TC: 250 - 1500 mg/dL
TG: 395 - 8200 mg/dL

若年性CAD

  • CETP欠損症
二次性高HDL-C血症
原発性胆汁性肝硬変

LDL異常

LDL 低い LDL 高い
原発性低LDL-C血症[1]
  • 無βリポ蛋白血症 (abetalipoproteinemia:ABL)
    MTP(microsomal triglycerides transfer protein)異常による
  • 家族性低βリポ蛋白血症 (familial hypobetalipoproteinemia:FHBL)
    短縮 apoB (10-30 %)
    3p21.1-22 関連(未同定)
    原因不明
  • Anderson病(AD)/カイロミクロン停滞病(CRD)
    Sar1(secretion-associated and Ras-related protein; SARA2 gene) 異常による
続発性低LDL-C血症
吸収不良、肝硬変、甲状腺機能亢進症、血液疾患、低栄養
高LDL-C血症
病名 原因遺伝子 遺伝 有病率 臨床像
家族性高コレステロール血症 LDL receptor, LDL clearance 相互優勢 hetero接合体 1/500; 60歳未満心筋梗塞の5%

homo接合体 1/million

hetero TC: 250-500 mg/dL

homo TC: 500 mg/dL
若年性CAD, 黄色腫、角膜輪

家族性アポB-100欠損症 apo B, LDL clearance 優勢 1/700 TC: 250-500 mg/dL

若年性CAD, 黄色腫、角膜輪

TG異常

TG 低い TG 高い
低トリグリセライド血症
定義は定まっていません。続発性のことが多く原疾患の存在を考慮すべきです。特に甲状腺機能亢進症、肝硬変症はコレステロール値とともに低トリグリセライド血症を認めます。ごく稀な遺伝疾患として無βリポ蛋白血症、低βリポ蛋白血症があります。
高トリグリセライド血症
病名 原因遺伝子 遺伝 有病率 臨床像
LPL欠損症 内皮 LPL, chylomicron clearance 劣性 TG: > 750 mg/dL

成長障害(乳児)、黄色腫、肝脾腫、膵臓

apo C-Ⅱ欠損症 apo C-Ⅱ 劣性 1/million TG: > 750 mg/dL

膵炎、しばしば代謝性症候群

家族性高トリグリセリド血症 ? 優勢 1/50 - 1/100 (60歳未満心筋梗塞の15%) TC: 250-500 mg/dL

TG: 250-750 mg/dL
若年性CAD, apo B上昇

家族性異常βリポ蛋白血症 apo E, chylomicron/VLDL clearance 劣性が一般的 1/5000 TC: 250-500 mg/dL

TG: 250-500 mg/dL
若年性CAD, 黄色腫、黄色の手掌線


CETP欠損症
コレステロールエステル転送蛋白(CETP)はHDL中のコレステロールエステルをVLDL、IDL、LDLなどのリポ蛋白へ転送します。わが国の高HDL-コレステロール 血症には極めて関係が深く、CETP欠損症ホモ接合体の総コレステロール値は中等度の増加、LDL-コレステロール値は正常ないし軽度低下、HDL-コレステロール値は130~250mg/dLと著増します。動脈硬化合併例も認められ、ハワイ在住の日系米人の調査で冠動脈疾患患者においてCETP欠損症の頻度が高いとの報告もあります。一方、HDLの合成増加による 高HDL-コレステロール血症では動脈硬化の発症が少ないと考えられます。
参考
  1. 一般の臨床検査でLDL-コレステロール値を直接測定する簡便な方法はありません。LDL-コレステロール値を求めるときには総コレステロール値からHDL値を引き、さらにTG値を5で割った値を引くFriedewaldの計算式を使うのが望ましいと考えられます。

動脈硬化性疾患予防ガイドライン (2007)

高LDLコレステロール血症は危険因子
  1. 高LDLコレステロール血症は冠動脈疾患[1]および脳梗塞[2]の重要な危険因子です。
  2. 冠動脈疾患、脳梗塞の発症を予防するためには、高LDLコレステロール血症を中心とした脂質異常を改善しなくてはなりません。
高LDLコレステロール以外の危険因子
  1. LDLコレステロール以外の主要危険因子は、高血圧、糖尿病、喫煙、家族歴、低HDLコレステロール血症、男性・加齢です。[1]
  2. メタボリックシンドロームは、LDLコレステロールとは独立した重要で危険な病態です。[2]
予防について
  1. 一次予防(リスク保持者)においては、高LDLコレステロール血症以外の動脈硬化危険因子の数を評価することが重要で、それに応じてLDLコレステロールの管理目標値を設定します。[2]
  2. 一次予防において、まず重要なのは生活習慣の改善です。[1] 生活習慣の改善は、薬物療法が開始されたあとも継続してください。
  3. 二次予防(冠動脈疾患の既往者)においてはLDLコレステロール100mg/dL未満を目標にすることが勧められます。[2]

解説
  1. 1.0 1.1 1.2 エビデンスレベルA (多くの証拠がある)です。
  2. 2.0 2.1 2.2 2.3 エビデンスレベルB (証拠がある)です。

診断基準値

脂質異常症の診断基準(空腹時採血)

この診断基準は薬物療法の開始基準を表記しているものではない。 薬物療法の適応に関しては他の危険因子も勘案し決定されるべきである。

高LDLコレステロール血症 LDLコレステロール ≧ 140 mg/dL かつ

総コレステロール ≧ 220 mg/dL [1]

低HDLコレステロール血症 HDLコレステロール < 40 mg/dL [2]
高トリグリセライド血症 トリグリセライド ≧ 150 mg/dL [3]
リスク別脂質管理目標値

脂質管理と同時に他の危険因子(喫煙、高血圧や糖尿病の治療など)を是正する必要がある。

治療方針の原則 カテゴリー 脂質管理目標値 (mg/dL)
LDL-C以外の
主要危険因子[4]
LDL-C HDL-C TG
一次予防
まず生活習慣の改善を
行った後、薬物治療の
適応を考慮する
I (低リスク群) 0 < 160 ≥ 40 < 150
II (中リスク群) 1-2 < 140
III (高リスク群) 3以上 < 120
二次予防
生活習慣の改善とともに
薬物治療を考慮する
冠動脈疾患の既往 < 100
参考
  1. この値はNIPPON DATA 80の疫学調査データをもとに、総コレステロール(TC)値が 160 mg/dL 未満の場合に比べて相対危険度が 1.6 倍となるように算出されています。米国NCEPによる基準はTC値、LDL-C値がそれぞれ 240 mg/dL, 160 mg/dL ですが、これは相対危険度 2.0 倍を指標に算出するからです。
  2. 低HDL-C血症が動脈硬化性疾患の危険因子であることはすでに確立されています。HDL-C値には性差がありますが、それを反映させるかは今後の検討課題です。
  3. TG値と動脈硬化の関係を示すコホート研究があります。
  4. LDL-C値以外の主要危険因子 加齢(男性≧ 45 歳 、女性≧ 55 歳 )、高血圧、糖尿病(耐糖能異常を含む)、喫煙、冠動脈疾患 の家族歴、低HDL-C血症(< 40 mg/dL)
    • 糖尿病、脳梗塞、閉塞性動脈硬化症の合併はカテゴリーⅢとする。
    • 家族性高コレステロール血症については下記の章を参照。